
目次
1. 人は「未来」から現在を変えることができる
2. 心理学でも「未来の自分」は現在の行動に影響する
3. ただイメージするだけでは、夢は叶わない
4. 精神世界から見る「未来の自分との同調」
5. 未来を現実に近づける4つのステップ
6. まとめ
1 人は「未来」から現在を変えることができる
「もっと仕事で活躍できる自分になりたい」
「経済的にも精神的にも豊かになりたい」
「大切な人と幸せに暮らしたい」
誰にでも、こんな「なりたい自分」があると思います。
では、その未来に近づくためには、何をすればいいのでしょうか。
普通に考えれば、
現在の自分が努力を積み重ね、その結果として未来の自分が出来上がる
という順番になります。
もちろん、それは間違いではありません。
でも私は、もう一つ逆方向の考え方も大切だと思っています。
それは、
「先に未来の自分を決めて、その未来から現在の行動を決める」
という考え方です。
例えば、
「人前で自信を持って話せる自分になりたい」
と思っているとします。
そこで、
「いつか自信がついたら堂々と話そう」
と考えるのではなく、
「すでに堂々と話せる人なら、今日のこの場面でどう行動するだろう?」
と考えてみるのです。
すると、
「少し緊張しても、自分から一度は発言してみよう」
「分からないことがあれば、堂々と質問しよう」
など、現在の行動が変わってきます。
つまり未来は、現在の行動の「結果」であるだけではありません。
未来を先に設定することで、現在の行動を決める「原因」にすることもできる
のです。
これは、このブログで以前書いた「登る山を決める」という考え方ともつながっています。
登る山が決まれば、必要な道具も、ルートも、今日やるべき準備も変わります。
人生も同じです。
未来の自分が明確になるほど、今日何を選べばいいのかが分かりやすくなるのです。
2 心理学でも「未来の自分」は現在の行動に影響する
実は心理学や認知科学でも、未来を具体的に想像することについて研究されています。
その一つが、
「エピソード的未来思考(Episodic Future Thinking)」
と呼ばれるものです。
簡単に言えば、自分が将来経験するであろう具体的な出来事を、頭の中でシミュレーションする能力です。
研究では、私たちの脳には未来の出来事をある程度「先に体験する」ような働きがあり、こうした未来思考は意思決定や計画、感情調整などにも関係すると考えられています。
さらに興味深い研究があります。
心理学者Hal Hershfieldらが研究してきたのが、
「Future Self-Continuity(未来自己連続性)」
という考え方です。
これは簡単に言うと、
「今の自分と未来の自分を、どれくらい同じ自分として感じられるか」
というものです。
未来の自分を「どこかの知らない人」のように感じている人より、
「未来の自分も今の自分の延長線上にいる」
と感じている人の方が、未来の利益を考えた選択をしやすいことが報告されています。
例えば、お金についての研究では、未来の自分とのつながりを強く感じる人ほど、将来のためにお金を残す選択をする傾向が確認されています。
これはとても面白い話です。
未来の自分をリアルに感じることができれば、
「今日くらいサボってもいいか」
ではなく、
「未来の自分のために、今日は少しやっておこう」
という判断をしやすくなる可能性があるからです。
未来を鮮明に描くことには、単なる空想以上の意味があるのです。
3 ただイメージするだけでは、夢は叶わない
ここで一つ、大切な注意点があります。
それは、
「成功した未来をイメージしていれば、それだけで成功できるわけではない」
ということです。
むしろ研究によっては、楽しい成功場面を空想するだけでは、努力が弱まる可能性さえ指摘されています。
心理学者Gabriele Oettingenらの研究では、望ましい未来についての「肯定的な期待」と、単に心地よい未来を思い描く「肯定的な空想」は同じではなく、後者は努力や成果の低さと結びつく場合がありました。
「私は絶対成功する」
「豊かになった自分を想像しよう」
と考えて満足してしまい、現実では何もしなければ、当然ながら現状はほとんど変わりません。
だからこそ重要なのは、
未来のイメージ+現在の行動
です。
そこで役に立つのが「メンタル・コントラスティング」という考え方です。
これは、
「実現したい未来」
だけでなく、
「そこへ行くことを邪魔している現在の障害」
にも目を向ける方法です。
例えば、
「健康的で引き締まった自分になる」
という未来を描いたなら、
現実を見る。
「でも仕事から帰ると疲れて運動しない」
という障害がある。
そこで、
「帰宅して着替えたら、まず5分だけスクワットする」
というように具体的な行動まで決めます。
特に、
「もし○○という状況になったら、△△する」
とあらかじめ決めておく方法は、「実行意図(implementation intention)」と呼ばれます。
多数の研究を分析したメタ分析でも、このようなif-then形式の計画は、目標達成を助けることが確認されています。近年の642件のテストを分析した研究でも、認知・感情・行動の各領域で効果が確認されています。
未来を見ることと、現実を見ること。
この二つがセットになったとき、イメージは初めて「行動を生み出す力」になります。
4 精神世界から見る「未来の自分との同調」
ここからは少し、科学から離れた話をしてみたいと思います。
精神世界では、
「すでに理想を実現している自分の波動に合わせる」
という考え方があります。
例えばバシャールの考え方では、自分の観念や感情、状態が、自分が経験する現実と関係しているとされます。
このブログでも以前、
「なりたい自分はすでに存在している」
という話を書きました。
「すでに存在している理想の自分」に自分を合わせ、そこへ向かって行動していく、という考え方です。
もちろん、「波動を合わせれば別の世界線へ移動できる」ということが科学的に証明されているわけではありません。
しかし、これを心理学的な言葉に置き換えてみると、とても興味深いものになります。
例えば、
「私は自信のある人間だ」
と考える人と、
「私はどうせ人前ではうまく話せない」
と考える人では、同じ場面でも行動が変わります。
発言するかもしれない。
黙るかもしれない。
挑戦するかもしれない。
諦めるかもしれない。
すると、数か月後、数年後に到達する場所も変わっていきます。
つまり、
「どの未来の自分として今を生きるか」によって、選択が変わり、その積み重ねによって現実が変わっていく
のです。
精神世界ではこれを「周波数を合わせる」と表現するかもしれません。
心理学では「未来自己」「アイデンティティ」「行動選択」などの言葉で説明するでしょう。
言葉や理論は違っても、
「内側で持っている自己像が、現在の行動に影響する」
という部分には、重なるところがあるように私は思います。
5 未来を現実に近づける4つのステップ
では実際に、どのように取り入れればよいのでしょうか。
難しく考える必要はありません。
まず、1年後や3年後など、少し未来の自分を想像します。
「何を達成しているか」だけではなく、
どんな朝を迎えているのか。
誰と一緒にいるのか。
どんな仕事をしているのか。
どんな気持ちで毎日を過ごしているのか。
ここまで具体的にしてみます。
次に、
「その人は、どんな考え方をしているか」
を考えます。
例えば理想の自分が、
「失敗しても経験が増えたと考える」
「他人の評価より、自分の目的を大切にする」
「疲れたら無理せず休む」
という人なら、それが未来の自分の「考え方」です。
そして今日、何か選択するときに、
「未来の私なら、今どうするだろう?」
と自分に聞いてみます。
最後に、それを小さな行動へ変えます。
「もし朝7時になったら、10分勉強する」
「もし会議で疑問を感じたら、一度は質問する」
「もし不安になったら、『未来の自分ならどう捉えるか』を考える」
こうして未来と現在を一本の線でつないでいきます。
イメージするだけでもなく、
努力だけでもない。
未来を描き、その未来にふさわしい選択を、今日一つだけする。
これを繰り返すのです。
まとめ
私たちはつい、
「今の自分が変われば、いつか理想の自分になれる」
と考えます。
でも逆に考えてみてもいいのです。
「理想の自分を先に決め、その自分として今日を生きてみる」
心理学では、未来を具体的に想像することや、未来の自分とのつながりを感じることが、現在の意思決定と関係することが研究されています。
一方、精神世界では、
「理想の未来と周波数を合わせる」
「すでにそうなった自分として生きる」
という表現があります。
どちらの考え方を採用するにしても、重要なのは同じだと思います。
未来を思い描いたあと、今日の選択を一つ変えること。
理想の未来を想像したら、自分に聞いてみてください。
「その未来の私は、今日という日をどう過ごすだろう?」
その問いへの答えを、今日一つだけ実行する。
それを毎日続ければ、未来のあなたと現在のあなたとの距離は、少しずつ縮まっていきます。
未来は、いつか突然やってくるものではありません。
今日のあなたの選択の中に、もう始まっているのです。

